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1300年の都・奈良で出逢った新世代レストラン

奈良

2018年4月16日

1300年の都・奈良で出逢った新世代レストラン
710年に現在の奈良市中心部よりやや西側に大内裏を置く平城京が藤原京より遷都されてから1300年あまり。長らく「古都」としての認識はあるものの、京都ほどの来訪者が見られなかった奈良の街が変わりつつある。街が過度に開発されてなかったからこそ残った、古くからの街並みの良さが見直されており、宿泊施設も徐々に増え、観光客にとっても便利になりつつある。
そんななか、遠方からわざわざ訪れる人も多い、洗練されたレストランが誕生している。そのいずれもが立地、設え、料理に奈良のテロワールを生かしたこの地にしかできないレストランとして成立している。奈良の魅力を凝縮・再構築した、そんな新世代レストランで特別な時間を過ごしたい。
編集 松尾 大(ぐるなび)

生まれ育った奈良で心機一転。大人のフレンチをじっくり味わう『la forme d’eternite 』

生まれ育った奈良で心機一転。大人のフレンチをじっくり味わう

大阪・靱公園の『エテルニテ』といえば、聞き覚えのある方もいるだろう。洗練されたフレンチで、ミシュランガイドにも掲載された店。その永野良太シェフが、地元である奈良で同名の店をリニューアルオープンしたのが2017年2月だった。
花芝商店街の一画に店を開き、ランチはコースのみ、夜はビストロ料理でアラカルトを楽しむという新たなスタイルに挑戦している。

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自らハンターとして猟にも出るシェフ。自家製へのこだわり、奈良愛を詰めた料理に感動する『Ristorante L'incontro』

自らハンターとして猟にも出るシェフ。自家製へのこだわり、奈良愛を詰めた料理に感動する

そぞろ歩きをする旅行客の姿も多い、昔ながらの風情が残る「ならまち」界隈。古民家に暖簾をかけた外観は、イタリアンらしからぬ雰囲気だ。しかし、奈良で生まれ育った若手シェフ渾身の料理に、遠くから足を運ぶファンも多い。
皿にのせるものは、できる限り自家製にこだわり、食材を求めて自ら山へ分け入る。その姿勢、そして常に成長を続ける料理の数々に、驚きを隠せない。

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店主が選ぶ珠玉の日本酒やワインと楽しみたい。炭火で焼き上げる大人の焼鳥『望月』

店主が選ぶ珠玉の日本酒やワインと楽しみたい。炭火で焼き上げる大人の焼鳥

「奈良の夜は早い」などと言われるが、決してそんなことはない。観光の喧騒から離れた静かな場所にこそ、上質な料理と酒が用意されており、ゆったりとした時間の流れに身をゆだねたくなる空間が待っている。
『焼鳥 望月』もそんな店のひとつ。居酒屋ほど煩わしくなく、料亭のような緊張感もない。気の置けない相手と、あるいは一人でも、杯を傾けながらゆっくりと楽しむ、まさに大人のための焼鳥店。

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心に響く料理を探求する若き料理人の躍動。古都ならではの季節を感じ、旬を味わう『奈良 而今』

心に響く料理を探求する若き料理人の躍動。古都ならではの季節を感じ、旬を味わう

奈良の魅力は、自然と調和し、長い歴史の中で磨かれた質朴な美。華やかな京都の風雅に比べると、やや地味な印象は払拭しがたいが、心を落ち着けてゆっくりと眺めることで、その良さが心にしみてくる。通うほど、その魅力に引き寄せられ、季節を変えて訪れたくなる。四季の味わいを楽しむならば、やっぱり和食がいい。
若干33歳で独立した清水唱二郎さんの店『奈良 而今』には、伝統的な日本料理を大事にする心と、若い意欲が満ち溢れている。

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自然と歴史が交差する奈良公園の一画で、地と時が生み出すストーリーを五感で味わう『akordu』

自然と歴史が交差する奈良公園の一画で、地と時が生み出すストーリーを五感で味わう

飛火野。奈良公園の東側、春日山の麓から続く春日大社を含む一帯は、古い名前で呼ばれており、万葉集などの歌にも詠まれる風趣ある景色が広がる。東大寺境内にも自然が多く、蛍が舞い飛ぶ池は美しい水を湛えている。
古都ならではの歴史ある自然の趣きに、心洗われる時間を過ごすのも大人の旅ならでは。そうした東大寺の自然林を借景とする場所に、2016年装いを新たにスタートしたレストランが『akordu』だ。

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