「川床」。エアコンの無い、いにしえの人々の知恵が生んだ、夏の涼み方。席の下を流れる水の音、吹き抜ける風に揺れる柳、涼し気な浴衣姿の人々、、、耳に目に、五感すべてで感じられる「涼」がここにはある。特に、この街の中心を流れる鴨川の右岸に5月頃から並びはじめる納涼床のことを、地元の人々は単に「床」と親しみを込めて呼び、夏の到来を意識する。そんな鴨川の納涼床も今ではさまざまなカタチで涼を求める人々に応えている。2017年の盛夏、エアコンの効いた室内ではなく、「床」で涼を取るのも素敵な大人の嗜みかと。
京の旬味と自家製とうふとゆばと。清澄なる味わいに浸る『豆屋源蔵』
柳の緑が瑞々しい木屋町通二条界隈。この辺りは高瀬船の終着点、一之船入(いちのふないり)と呼ばれ、再現された高瀬船が情趣を添える。
二条通を少し下がったあたりに掛かる『豆屋源蔵』の暖簾。ふわりとくぐって細い路地を歩き出す。さらに右手の暖簾を抜けると、そこには古き良き時代を思わせる佇まいの玄関が出迎えてくれる。
漬物店主兼酒場ライターがつくった 美味し愉しき酒飲みのための店『先斗町 百錬』
錦市場の漬物店主であり、酒場ライターであるバッキー井上さんの店。というだけでも、酒飲みは心踊るかもしれない。バッキーさんのファンという人にも、よく知らないという人にも、名著『いきがかりじょう』(百練文庫)から、酒場についての名文を抜粋したい。
絶妙アラカルトと豊富なワイン。食べごころ、飲みごころを心地よく刺激『Vineria t.v.b』
先斗町を南に下がって、四条通りを超えると、通り名が「西石垣(さいせき)通り」に変わる。その西石垣通りと木屋町通りがぶつかるあたりの東側に見える一枚の細いドア。
そっと開けると、中はうなぎの寝床がずーっと奥まで続き、カウンターの向こうはオープンキッチンらしい活気に溢れている。炭火の芳しい匂いが立ち上り、焼いたり、揚げたり、カウンターに鎮座する生ハムを滑らかに切る様子など、美味しそうな臨場感に、思わず、ゴクリと喉が鳴る。
納涼床で唯一の「カフェ川床」で、ショコラとスパークリングの極上マリアージュを『サロン ド ロワイヤル京都』
女性は必ずしも甘党とは限らない。スイーツ? いや、やっぱりお酒でしょう、というツワモノ女子であっても、その誘惑に抗いがたいのが、チョコレートと泡の組み合わせではないかなと思う。
スパークリングワインの繊細な泡と、濃厚なカカオの風味は、どうして、こんなにもマッチするんだろう。マリアージュ論はさておき、この素敵な出逢いがなんと川床でいただけるのが、ここ『サロン ド ロワイヤル京都』である。
この原稿を書きつつも、こんなとっておきの場所を人に教えたくない、という思いと、京都にはこんなに素敵な場所があるねん! と自慢したい思いのせめぎ合いで、悶々としてしまうのだが…。
なんて素敵な初体験。ワインとチャイニーズの自在なペアリング『Bistro SUMIRE chinese』
木屋町四条下ル、団栗橋(どんぐりばし)を越えたあたりにあるビストロスタイルのチャイニーズ。細い路地を抜けて店内に入ると、思いのほか広々とした空間が広がり、京都の空間マジックに軽いジャブを受ける。