そして、本格的な秋へ。
これからしっかりと気温が下がり、寒暖の差が生じることで
京都の美しい紅葉は私たちの前にその姿を現す。
その紅葉を愛でるために訪れた京都で、
この土地でしか味わえない味覚を求める。
それぞれの店で、目で舌で京都の魅力を存分に楽しんでいただきたい。
名料亭のサロンで味わうゆとりの時間『無碍山房 Salon de Muge』
紅葉の名所としても知られる円山公園近く、高台寺の北側に2017年、サロンが開店した。1912年創業の料亭『菊乃井』が手掛ける『無碍山房 Salon de Muge』だ。昼時は2部制で時雨弁当を、その後はコーヒーやできたてのわらび餅、パフェなど、和スイーツを楽しめる。「『菊乃井』の西隣にあり、別館という位置づけです」とは店長の島嵩人さん。三代目主人・村田吉弘さんがおいしいと思うものを提供する趣味の店でもあるそうだ。
藤原頼通邸跡の京料理店は現代の名工の技が光る『京料理 かじ』
江戸時代には公家屋敷が立ち並んでいたという、今は緑深い京都御苑の西側に『京料理 かじ』はある。敷居が高いと思われがちな京料理だが、こちらでは昼夜共に10品からなるコースが3,900円から味わえると、2001年の開店以来、予約の絶えない人気ぶりだ。遠方からの旅行客はもちろん、家族での集まりごとやお祝いごとになど、リピーターが多々という。
祇園の人々に半世紀、支持される京都中華の老舗『広東御料理 竹香』
「京都中華」や「舞妓中華」とも呼ばれる、京都独自の中国料理を知っているだろうか。その代表格の一軒として知られるのは、祇園新橋の橋のたもとに店を構えて52年になる広東料理店『竹香』だ。江戸末期から明治初期にかけての町家が今も立ち並び、石畳の京都らしい風情漂う場所柄も手伝って、一見、手が届かないのでは?と思いがちな品あるたたずまいだが、扉を開けば、アットホームな雰囲気にほっと安堵できる。
白川のほとりでいただく「京都の朝ご飯」『丹』
ここ数年、雑誌などでも特集が組まれるほど、「京都の朝ご飯」が注目されている。実際、旅行中に「おいしい朝ご飯がゆっくり味わえれば…」と思ったことのある方も多いはず。柳揺れる白川橋のほとりにある『丹』は、旅人のそんな願いに応える、“日本の朝ご飯”をいただける一軒だ。京都の名料亭の新展開として、2014年にオープンした。
茶問屋のカフェでいただく本物の抹茶スイーツ『茶匠清水一芳園 京都本店』
千手観音坐像を中央に千体並ぶ観音像が圧巻の、国宝「三十三間堂」近く。ここに2012年にオープンした、茶問屋が営むカフェがある。高品質な抹茶やほうじ茶を使ったパフェやかき氷が評判で、行列が絶えない一軒だ。三代目店主は清水ひらくさん。昭和55年生まれで、宇治の茶業研究所で一年、台湾で一年お茶の研鑽を積んだ後、実家を継ぐと決心。大阪の茶問屋が、「人生をかけて」京都に進出したのには理由があった。