特集 / 京都が一番美しい季節に、紅葉を愛でつつ美味しいひと時を
藤原頼通邸跡の京料理店は現代の名工の技が光る

京都

2018年10月15日

藤原頼通邸跡の京料理店は現代の名工の技が光る
江戸時代には公家屋敷が立ち並んでいたという、今は緑深い京都御苑の西側に『京料理 かじ』はある。敷居が高いと思われがちな京料理だが、こちらでは昼夜共に10品からなるコースが3,900円から味わえると、2001年の開店以来、予約の絶えない人気ぶりだ。遠方からの旅行客はもちろん、家族での集まりごとやお祝いごとになど、リピーターが多々という。
椀物。卵豆腐を丸くかたどった満月豆腐、ぶなしめじ、ツルナ、松葉柚子のすまし汁。秋草の蒔絵の椀が美しい。3,900円の雪コースから。
椀物。卵豆腐を丸くかたどった満月豆腐、ぶなしめじ、ツルナ、松葉柚子のすまし汁。秋草の蒔絵の椀が美しい。3,900円の雪コースから。

ご主人の梶憲司さんは、60歳。日本料理一筋44年、京都府の現代の名工にも選ばれた人物だ。埼玉や東京の割烹店で腕を磨き、西陣『万亀楼』、祇園『美濃幸』などを経て、鷹峯しょうざん『千寿閣』では15年間総料理長を務めた。2001年、平等院を創建した藤原頼通の邸宅「高陽院」跡に、自店を開く。敷地内の井戸から湧き出る、京都三名水の一つ「染井」と同じ水脈である銘水をすべての料理に使用。「開店当初から、御膳の上は料亭以上のお料理を、という志を曲げずにいます」と話す。

店主の梶憲司さん。平安時代から続く食の儀式、生間流式包丁の数少ない継承者でもある。
店主の梶憲司さん。平安時代から続く食の儀式、生間流式包丁の数少ない継承者でもある。

ただ利用しやすい価格というだけではなく、京料理らしい季節感と創意工夫が料理には溢れている。例えば、秋の前菜。乾燥させた菊の花とクコの実を氷砂糖と一緒にホワイトリカーで約1年漬け込んだ、香り高い食前酒と供される。鶉のミンチを使った松風には、くるみや干しブドウをアクセントに使用。クラゲとキュウリの胡麻和えは炒り煮をしたもち麦で、糸ウリの白和えにはトンブリが添えられ、食感に変化をもたらす。目にも鮮やかに盛り込まれ、佐々木酒造「古都」や山本本家「松の翠」など、京の地酒も進むひと皿だ。

前菜と食前酒(菊花酒)。鱧の子の玉〆、イトウリの白和え、松風、鱧の南蛮漬け、サンマの小袖寿司など。3,900円の雪コースから。
前菜と食前酒。鱧の子の玉〆、イトウリの白和え、松風、鱧の南蛮漬け、サンマの小袖寿司など。3,900円の雪コースから。
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