実力もロケーションも申し分なし。さらに進化し続けるシェフに会いに行きたい『ad hoc』
キッチンにて白いコック服の中、ひとりラフなシャツ&エプロン姿の高山龍浩シェフ。若くして、大阪のフレンチに新たな歴史を刻んだ人物だ。リッツカールトン大阪『ラ・ベ』をはじめ、正統派レストラン、カフェと多彩なスタイルを経験し、26歳で独立。『ミシュランガイド京都・大阪 2010』で一つ星として掲載されたフランス料理、土佐堀の『トゥールモンド』と言えば、ご存知の方もいるだろう。
ところが注目が高まるなか、2014年に『トゥールモンド』は閉店。同年に堂島川の北側にある「ほたるまち」の一角に移転オープンしたのが『アドック』である。ランチは2カ月ごとに内容が変わる5,000円(税・サ別)のコースのみ。ミシュランガイドで評価された実力に加え新進気鋭のシェフの進化が楽しめる内容に新旧の高山ファンが胸をときめかせ、来店する。
激戦区となった船場で開店早々から話題のイタリアン。シンプルなスタイルは、素材の力への信頼から『Alla-Goccia』
大阪の船場と言えば、10年ほど前までは商家の町の伝統を受け継いだ……といった感じで語られることも多かったが、ここ最近でずいぶん様変わりした。キタとミナミの真ん中、交通アクセスの申し分ない好立地が注目され、いわゆる「都心回帰」の流れも手伝って、タワーマンションがどんどん建ち始めた。もともとオフィスワーカーの多いエリアでもあり、人が集まれば当然、飲食店も増える。ジャンルもハコの大きさもさまざまな店が次々にオープンし、しのぎを削っている。
そんな中、2016年8月に開店した『Alla-Goccia』は、大阪市内で名の通った各店で経験を積んできた北村仁さんがオーナーシェフのイタリアンレストランだ。
梅田にいながら、シンガポールへひとっ飛び。名店のチリクラブを体験できる贅沢な昼下がり『シンガポール・シーフード・リパブリック大丸梅田』
JR大阪駅から直結の、大丸梅田店14階。「大丸エキウエダイニング 美食区」の一角に、飛行機に乗らずしてシンガポール気分が満喫できる『シンガポール・シーフード・リパブリック』がある。シンガポールのセントーサ島にも姉妹店があり、そこが本店かと思いきや、実は日本生まれのレストラン。目玉はチリクラブと言って、カニを活きたままトマトベースのソースで煮込む豪快なシンガポールの名物料理だ。マッドクラブは店ごとに味付けが異なり、ツウな旅行者は食べ歩きをするのだが、ここにはシンガポール政府観光局推奨の4つの名店の味が集結。それがリパブリック(Republic of Singapore=シンガポール共和国)という店名の所以。品川本店の人気ぶりを見て、大丸梅田店が関西初店舗として誘致したのが5年前。九州一の繁華街、福岡市の天神にも西日本で2店舗目が3月にオープンし、何かと話題を集める今春。気軽にプチ旅行に出かけてみては。
予約困難と言われるほど行きたくなる。福島の路地裏で唯一無二なフレンチを堪能『point』
路地を曲がるたびに名店に巡りあえるのが楽しい大阪・福島。『ポワン』はその最たる目的地と言えるほど、大げさではなく、本当に「予約のとれない店」なのだ。予約は1カ月前からだが、電話がつながることすら至難の技。その魅力は料理、雰囲気、サービス…。とりわけ魅力的なのがオーナーシェフ中多健二さん。料理学校に行かずして修業で独自のフレンチを確立。2007年に西天満に『アキュイール』をオープンして人気を博し、2013年に現在の地に移転し『ポワン』を開業した。歴代メニューはすべて記録し、二度目以降の来店者には以前と重ならない料理が提供されるというストイックなシェフの姿勢、人柄を敬い慕う若きスタッフが一丸となった雰囲気がなんとも清々しい。
テレビでもおなじみのイケメンシェフは魚の目利きも天下一品。激戦区の「福島」で愛され続ける「魚イタリアン」『La Lucciola』
今や大阪一「美食の街」とも呼ばれる福島。腕に自信のある料理人が次々と店を構える一方で、姿を消す店も少なくない。そんな福島で今年12年目を迎えるのが『ラ・ルッチョラ』だ。
福島エリアの人気の火付け役とも言われ、新鮮な魚介類をふんだんに使った「魚介イタリアン」という新たなジャンルを確立させたと言っても過言ではない。「店を出すなら中央市場の近くで」と、福島が人気エリアになる前からここで開店することを決めていたという鈴木浩治シェフ。 開店して1年もたたないうちに雑誌『Hanako WEST』でイタリアン部門のグランプリを獲得したのを皮切りに、瞬く間にその名は全国レベルに。ルッチョラとはイタリア語で「蛍」を意味するもの、鈴木シェフの料理もまさにホタルのごとく光り輝く。