JR広島駅から徒歩約10分という旅行者には至便なエリア。京橋川沿い、稲荷橋のたもとで優雅な時間が流れるオープンレストランがこの『Oyster Conclave牡蠣亭』だ。Conclaveといえば、ローマ教皇を枢機卿による投票で選出する「教皇選挙」のことだが、「集う場所」という意味もあるそうで、牡蠣を食べるために集うという意味を込めてこの名を付けたのだという。
お店の母体である、川崎水産は宮島の対岸である廿日市市・地御前で牡蠣を育てている。川崎水産のブランドである「健牡蠣」は“牡蠣と会話が出来る”という社長の名前から取ったもので、味の濃さが特徴。地御前は山から海までの距離が短く栄養価の高い水が海に流れる場所。そんな養殖に好条件の地御前の漁場でも筏の下の土壌や海流や育て方によって味が変わるのだという。この「健牡蠣」は牡蠣を甘やかさずに育てていることもあり、旨みが凝縮され身が詰まっている。
「牡蠣亭」というだけあって、こちらで供されるのは潔く「健牡蠣」を使った牡蠣料理のみ。そして、なによりも驚くのがキッチンには調味料としての塩が置いていないこと。それくらい濃厚な旨みを持つ牡蠣を堪能できるというわけだ。たとえば、牡蠣のこがし焼きというメニューなら、フライパンで焼いている牡蠣から出たエキスで野菜を焼く。キッシュも焼き上げる際に牡蠣を一番上に乗せることでその旨みが下の方まで染みわたり、想像以上に旨みを感じるキッシュとなっている。牡蠣に塩分があることはもちろん想像がつくだろうが、それにしても調味料無しで料理として成立させてしまうくらいに濃厚な味わいはすごいと言える。