特集 / 隠れ家から老舗まで、神戸の名店をめぐる
抑揚と驚きのある、食べ疲れない天ぷらの極意

神戸

2019年12月17日

抑揚と驚きのある、食べ疲れない天ぷらの極意
三ノ宮駅からほど近くに2006年にオープンした『天ぷらやまなか』。ミシュランガイドでも2つ星として掲載されたことのある、神戸を代表する天ぷら専門店だ。ご主人の山中賀博さんは、第一ホテルやホテルオークラ神戸の日本料理店で合計10年あまりの修業ののち、三宮の日本料理で料理長を任されたあとに独立した。日本料理の数あるジャンルの中で、天ぷらがもっとも面白いと考え、専門店での経験は無かったものの独学で天ぷらを学び、こちらを開いた。
酸化しにくくくどくなりにくい、ごま油と米油をブレンドした油で揚げられていく
酸化しにくくくどくなりにくい、ごま油と米油をブレンドした油で揚げられていく
兵庫ならでは、香住のズワイガニがぎっしりと詰まった天ぷらは香りも素晴らしい
兵庫ならでは、香住のズワイガニがぎっしりと詰まった天ぷらは香りも素晴らしい

天ぷらのシンプルなのに奥深いところが天ぷらの魅力だと語る山中さん。洋食はもちろん、日本料理の世界においても足し算的な料理が少なくない中、天ぷらは素材の旨みを中からいかに引き出していくのかが問われる、引き算の極みと呼べる料理ジャンルのひとつ。山中さんは仕事としての楽しさを感じ、専門店として開店することを決めた。

ぜひ、食べておきたいフカヒレの天ぷらは、気仙沼の最高ランクの者をかつおだしで炊き、下処理し、小さく切って天ぷらとして供する
ぜひ、食べておきたいフカヒレの天ぷらは、気仙沼の最高ランクの者をかつおだしで炊き、下処理し、小さく切って天ぷらとして供する
珍しいブリの天ぷらには、ちり酢を乗せてあっさりと
珍しいブリの天ぷらには、ちり酢を乗せてあっさりと

天ぷらといえば、鮨同様、すぐに江戸前が思い浮かびがちだが、決まりごとが多すぎて、自由さが失われていたのも事実。ただ、現在46歳の山中さんを含め、30~40代の料理人は、基礎はしっかりと押さえつつ、それぞれが工夫を施した天ぷらを供するようになった。特に、「本場」から離れた関西の料理人は自由な発想が光る。山中さん自身も、基本は江戸前としながらも、油や提供方法を工夫し、さらに江戸前にはない瀬戸内の良質な素材を天ぷらとすることで、江戸前と瀬戸内の良いところ取りという天ぷらに仕上げた。

この時季は新ウニも。ウニの名産地として知られる淡路島・由良で11月に解禁となったばかりのもの。夏の赤ウニが知られる由良だが、この時季のムラサキウニも違った旨みが楽しめる。天ぷらの上に乗せたり、そのまま食べたりといろんなスタイルで
この時季は新ウニも。ウニの名産地として知られる淡路島・由良で11月に解禁となったばかりのもの。夏の赤ウニが知られる由良だが、この時季のムラサキウニも違った旨みが楽しめる。天ぷらの上に乗せたり、そのまま食べたりといろんなスタイルで
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