松江・橋北地区にあり山陰地方でも有数の老舗旅館がこの「皆美館」。創業130年あまりの歴史を誇り、皇族も宿泊した宿である。他にも、芥川龍之介、河井寛次郎、高浜虚子はじめ、数多の文化人、政財界人、美術家が訪れたというこの地でも別格の存在だ。特に、昭和のはじめに島崎藤村が宿泊したときの部屋は「藤村の間」として、当時のまま保存し、現在も客室として使われている。
もともと「皆美館」は「京店の酢屋」として商いをはじめ、明治21(1888)年、5代目のときに絶景を活かした宿として転業した。開業当時はそれまでの住居の2階部分を宿としたもので、3部屋しかなかったのだという。その後、客室を増やすなどしたほか、昭和27(1952)年には玉造温泉に別館を開業、現在その別館は「佳翠苑皆美」として多くの観光客をもてなしている。さらに、宍道湖畔と東京・銀座及び日本橋に和食レストランを開くほどになった。
そんな「皆美館」の1階で伝統の味を気軽にいただけるのが『庭園茶寮 みな美』だ。皆美家伝の鯛めしと鰻のしゃくもどき、鰻まぶしのほか、さまざまなメニューが楽しめる。広い店内は、湖畔庭園と宍道湖の絶景を眺めながら食事がいただけるホール席。同じく眺めの素晴らしい椅子個室、座敷個室という構成。