特集 / 初秋の播州路でならではの味覚を味わう小旅行へ
鮮魚店で育った店主による「でん助穴子」が堪能できる店

兵庫

2018年9月17日

鮮魚店で育った店主による「でん助穴子」が堪能できる店
「でん助穴子」という穴子を知っているだろうか。明石では重さ300g以上の大きな真穴子を「でん助」と呼んで区別して扱い、明石鯛や明石蛸に並ぶ逸素材として重宝してきた。この伝助穴子を味わい尽くせる一軒が、明石駅の南側、パークサイド商店街にある『でん助』だ。
生け簀を泳ぐ800g相当のでん助穴子。身は造りや焼き、鍋などに、骨は揚げて骨せんべいに、頭からはだしをとるなど、余すところなく使い切るのがモットー。
生け簀を泳ぐ800g相当のでん助穴子。身は造りや焼き、鍋などに、骨は揚げて骨せんべいに、頭からはだしをとるなど、余すところなく使い切るのがモットー。

ご主人の西岡竜人さんは、淡路島・岩屋の出身。奥様の実家が鮮魚店を営んでいたこともあり、いつも地元で獲れた魚を食べていた。高校生のときには、夏休みや冬休みなど長期の休みになると、明石の「魚の棚商店街」の鮮魚店でアルバイトをし、魚の目利きの基礎を習得。その後料理人を志し、淡路島の名割烹『源平』で明石海峡の魚を扱い、腕を磨いた。そして、自身の店を開くとき、「明石海峡の魚の中でも、でん助穴子のおいしさや魅力を多くの人に知ってほしい」と決意。14年前の開店当時、でん助穴子を看板にした店が明石にはなかったことも、その想いを後押しした。

ご主人の西岡さん。毎年、淡路市・岩屋で行われる石屋神社秋祭りだんじり巡行に参加している。
ご主人の西岡さん。毎年、淡路市・岩屋で行われる石屋神社秋祭りだんじり巡行に参加している。

主な仕入れは、淡路の先輩や友人が営む鮮魚店から。店には浄化槽完備の容量1トンもの生け簀が置かれ、仕入れた魚の鮮度を徹底管理している。現状、でん助穴子は明石には少なくなってきており、時には神戸前や泉州ものも扱うという。でん助穴子は通年おいしいとされているが、産卵時期を除いた夏場と冬場が特に脂のノリが良いとのこと。店にでは、平均 500~600g、時には800gと大ぶりのでん助穴子を厳選。「開店当時と比べて漁獲高は半分以下、仕入れ値は倍以上。年々希少になってきていますよ」。

肝や胃袋、コラーゲンの多い腹身を酒や砂糖を使わず、醤油で炊いた、肝煮漬け800円。地元の漁師炊きと言われる調理法だ。
肝や胃袋、コラーゲンの多い腹身を酒や砂糖を使わず、醤油で炊いた、肝煮漬け800円。地元の漁師炊きと言われる調理法だ。
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