天神や中洲の繁華街に近いものの、ここ西中洲エリアは街の喧騒を感じさせない静寂さがある。寿司やフレンチ、バーなど、さまざまなジャンルの飲食店が点在しており、グルマンたちが好んで通う街だ。そんな街に『四合院凛丹(しごういんりんたん)』がオープンしたのは、2015年9月のこと。福岡・六本松に『凛丹』が登場したのは2014年1月だったことを考えると、2年目にして姉妹店をオープンさせたことになる。名店が集まる西中洲の中でも注目を集める『四合院凛丹』を訪ねた。
中国料理の力強さと落ち着きのある空間が調和
オーナーシェフの河津充征さんは、名古屋の大学を卒業後、フランス料理の専門学校に進学し、中華の世界に入った異色の経歴を持つ。
「中国料理をしたかったというよりも、自分の中にあるものを表現するには中国料理がいちばん合致したんですよね。言葉にするのは難しいのですが、力強い美味しさ、力強い美しさを表現したいという想いが強く、その表現のために必要な方法論や素材感を身につけられる修業先を選んでいましたね」
なかでも影響を受けたのは、東京・富士見台の『源烹輪(げんぽうりん)』。ここで学んだことをベースに、河津さん自身の好みや洋食の経験なども取り入れ、力強いおいしさ、力強い美しさを表現した料理を提案する。
「レストランという場所が好きなんです。専門学校に通っていた頃、東京の国分寺に住んでいたのですが、駅前にあった小さなイタリア料理店の雰囲気がよくて。地元のお客様がちょっとよそゆきの服に着替えて行く感じ。そんな店にしたいと思って、空間づくりをしています」
大衆的な居酒屋でも、高級レストランでもない、肩肘張らずに食事を楽しめる心地よさがここにはある。