特集 / 50代夫婦がまだ知らない、ホントの“らしい”京都
野菜のポテンシャルを完璧に引き出す“菜園ティスト”

京都

2017年5月22日

野菜のポテンシャルを完璧に引き出す“菜園ティスト”
三条通は、明治時代に造られたレンガの建物が並ぶモダニズムストリートとしても知られる。その一つだった、辰野金吾設計の「旧第一銀行 京都支店」を忠実に再現した「みずほ銀行京都中央支店」を目印に、三条通を西に進む。しばらく行くと、左手に車1台がギリギリ通れる道が現れる。正式名は衣棚通(ころものたなどおり)だが、界隈では「了頓図子(りょうとんづし)」の名で親しまれている。
ちなみに図子とは京都特有の細道で、地元では奥が行き止まりになっている小道を路地(ろうじ)、通り抜けられる小道を図子(ずし。辻子とも書く)と呼び分けている。桃山時代の茶人・広野了頓がここに屋敷を構え、邸内の南北通り抜けを許していたことから名がついた。
了頓図子の眺め。右手に『オルト』がある
了頓図子の眺め。右手に『オルト』がある

メニューでは「どんな料理か」想像がつかない

オーナーシェフの谷村真司さんが、この図子に店を構えたのは8年前のこと。京都にある老舗イタリア料理店、野菜使いの上手さで知られる洛北フランス料理店などに勤めたあと、イタリアへ。トスカーナ州やリグーリア州で腕を磨いて帰国。リストランテをオープンさせた。

谷村シェフ自身、折にふれて畑に向かう
谷村シェフ自身、折にふれて畑に向かう

昨年、9年目を迎えるのを機に大幅に改装した。と同時に、店名に付けられていた“リストランテ”を外し、菜園を意味する『オルト』だけに変えた。その理由を、谷村さんは「カウンターを造ったということもありますが、イタリア料理だけにとらわれず、もっと自由な感じにしたかった」と明かす。

新設した1階のカウンター。上部は吹き抜けに
新設した1階のカウンター。上部は吹き抜けに

テーブルに置かれているのは、ナプキンとカトラリーと1枚のカード。そこには素材の名前だけが書かれている。ゲストは、「塩トマトを使ったどんな料理が出てくるのだろう」とワクワクしながら待つのだ。

素材名だけが書かれたカード
素材名だけが書かれたカード
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