特集 / 奈良だからこそ味わえる美味の小旅行へ
香りと旨みが際立つ、至極の蕎麦の味わい

奈良

2020年3月18日

香りと旨みが際立つ、至極の蕎麦の味わい
和歌山と三重、奈良の県境に「百夜月(ももよづき)」という美しい地名がある。現在は熊野市紀和町花井に属するこの地。北山川沿いにあってクルマではたどり着けず、徒歩では山道を遠回りせねばならず、小舟で渡るしかないような陸の孤島のような集落だ。その昔、この地に光月山紅梅寺という寺があり、そこに住み込んでいた若く美しい尼僧に会おうとした若者が人目に付きにくい夜に川を渡ろうとした。ところが、月明かりがまぶしく、その後も99回決行したが、毎度引き返すことになった。そのことを母親に打ち明けたら、若者が悪さをしないように月明かりが照らすのだと教え、100回通ってもダメだと諭したことからこの地が百夜月と呼ばれるようになったという。
手挽きのざるそばは1,100円。こちらは、そのままで味を確かめ、その後は塩がおすすめ
手挽きのざるそばは1,100円。こちらは、そのままで味を確かめ、その後は塩がおすすめ

さて、その「百夜月」と名付けられた蕎麦店が奈良にある。店主の漁野博友さんは和歌山県の出身。住宅・消費財の業界紙の編集職であったが、当時大阪・大正区にあった『梵愚』で蕎麦を食べたのをきっかけに、自らも蕎麦を打とうと考えるようになった。当時、小学生二人の子供を抱え、不安もあったが、38歳にして一念発起し、脱サラの道に。

おろしぶっかけは1,100円(十割の場合は+110円)
おろしぶっかけは1,100円(十割の場合は+110円)

件の『梵愚』で働くことは叶わなかったが、名古屋の『紗羅餐(さらざん)』で修業。その後、2003年3月24日に奥様の出身地である奈良にオープン。『そば切り 百夜月』と名付けた。実はその百夜月は漁野さんの祖父の出身地。美しい名に惹かれ店名としたのだという。以来17年、奈良はもとより関西中の蕎麦好きを唸らせている一軒だ。

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