鶴橋駅といえば、JR、近鉄、地下鉄が乗り入れる交通の要衝にして、焼肉の街、コリアンタウンといういうイメージが強く、近年は特に国内外から観光客も多く訪れる街。けれど、もともと鮮魚市場があるなどしてきたという歴史があり、もっと大きな意味で食のカオスというべき街だといえるだろう。それゆえ、舌の肥えた人々も多く、飲食店のレベルは高い。
そんな鶴橋の街にあって、幅広い世代から人気を集めている店が、この『中華バール 金柑』だ。“バール”という言葉がつくように気軽にバー感覚で楽しめる店であるが、料理も決してバー料理ではない、しっかりとしたもの。大皿でポーションの大きいものではなく、気軽に楽しめるようにと小皿で一人前の中国料理がいただける。店主の山中章太さん曰く「育ちの悪い料理」というが、ホテルや高級店のかしこまった中国料理ではなく、アイデアあふれる料理が並び、料理関係者も足繁く通うという。
たとえば、近年流行している白子入りの麻婆豆腐もオープン当時からの人気メニューだし、最近では牡蠣入りの麻婆豆腐も登場。また、最近近くにオープンした2号店の『金柑 離(ハナレ)』はマヨネーズではなく、ベシャメルソースを使ったポテサラをメニューに載せるなど自由な発想から生まれた完成度の高い料理が客を頼ませる。さらに、メニューにないものでもこんなものが食べたいと言えば作ってもらえたりするので、使いやすい。