特集 / じわじわと変革が始まっている福井の今のグルメを愉しむ
いま、もっとも注目したいイノベーティブレストラン

福井

2019年5月20日

いま、もっとも注目したいイノベーティブレストラン
おもにフレンチやイタリアンで経験を積んだシェフが、それぞれの国や地域性を反映させたオリジナルの料理を次々に発表し、いまでは「イノベーティブ」と呼ばれる新しい時代の料理スタイルとしてカテゴライズされ、注目を浴びている。例えば、デンマーク・コペンハーゲンから発信し、世界中のグルメが足繫く訪れた『noma』はそれまで決して豊かとは言えなかった北欧の料理を、地元の食材・調味料を使って再構築し、世界のどこにもないまさにイノベーティブな料理に昇華させた。その流れは世界に伝播し、日本でも大都市だけでなく、各地方に注目すべきレストランが次々と現れている。
福井市内中心部からタクシーで20分程度。あたりには店舗も多いがこのように解放感のあるテラスが成立するのも地方のレストランの良さか
福井市内中心部からタクシーで20分程度。あたりには店舗も多いがこのように解放感のあるテラスが成立するのも地方のレストランの良さか

そんな一軒が福井にある。『レ・クゥ』は、オープンが2000年と、今年で20年目となるレストラン。東京・中目黒のビストロでの修業後、オーナーシェフの阪下幸二さんは地元・福井に戻ってきた。もともとはフランス修業に出る予定だったが、地元に戻る必要があり、さらに戻ってきたら居抜き物件で店をやらないかという話になり、トントン拍子で店を開くことになった。開店後は、東京での修業時代に郷土料理から特別な食材を使った一品まで徹底的に叩き込まれたフランスの味を地元・福井の客に受け入れてもらいたいという思いで作り続けてきた。気軽に食べてもらえるようにと、コンフィやさまざまな郷土料理のほか、ソーセージやハムまで手作り。開店当時は本物のビストロと呼べるような店がほとんどなかったこの街での営業も、コアな顧客が支えてくれてきた。もちろん、フランスで修業ができなかったことへのコンプレックスは抱いてきたというが、それがいい意味で、より本格的であろうとする原動力でもあった。

地元のワタリグラススタジオというガラス工房に対するリスペクトを込めて、皿が映える料理をと考えた一皿。地物の真鯛を薪火で軽く炙ったもの。ゆずのビネグレット、六条大麦、ビーツ、塩麹と酒粕に漬けた大根という地物の素材を味わう。折菜という菜花と白子を合わせたソース、アーモンドミルクの泡とともにいただく。醤油こそ使わないが和食でもフレンチでもない、現在進行形の福井を表現した味わい
地元のワタリグラススタジオというガラス工房に対するリスペクトを込めて、皿が映える料理をと考えた一皿。地物の真鯛を薪火で軽く炙ったもの。ゆずのビネグレット、六条大麦、ビーツ、塩麹と酒粕に漬けた大根という地物の素材を味わう。折菜という菜花と白子を合わせたソース、アーモンドミルクの泡とともにいただく。醤油こそ使わないが和食でもフレンチでもない、現在進行形の福井を表現した味わい
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