タイ料理というと、「スパイスたっぷりで辛い料理」というのがステロタイプなイメージではないだろうか? だが、実際にはタイ料理で“スパイス”と呼べるものは唐辛子くらいなもの。むしろ、ハーブ料理と呼んだほうがタイ料理の実態を表していると言える。つまり、薬膳料理の東南アジア版というべきものがタイ料理本来の姿だとして、20年近くこの地で支持されているのが『RAHOTSU』だ。
2000年にオープンした当初はアジアンカフェとしてスタートした『RAHOTSU』。店名は、近くにある東大寺の廬舎那仏(大仏)にあやかって、その髪の名称である螺髪からいただいた。その後、より特化した業態を目指し2004年に当時奈良市内にはほとんど無かったタイ料理店に。単なるタイ料理ではなく、可能な限り奈良の食材を使うことをコンセプトとした。 例えば、グリーンカレーと人気を二分する「三輪そうめんのトムヤムクンにゅうめん」。しっかりとコシがある素麺がトムヤムクンの中に。辛さを控えめに仕上げたトムヤムクンと非常にマッチし、いくらでも食べられそうな味わいとなっている。
ゲーン・キョワーン・ガイ(大和肉鶏のグリーンカレー)にしてもそう。ご飯がセットになっていないというメニュー構成からもわかるように、あくまでも単品でスープとして楽しめるもの。もちろん、ご飯と一緒にいただけばマイルドなグリーンカレーとなる。使用している肉も大和肉鶏という奈良のブランド地鶏。もともと、味に評判があった「大和かしわ」の味を現代によみがえらせるために作られた鶏で、肉の旨みやだしの出具合など非常に評価の高い鶏肉である。