特集 / 広島とはまた異なる文化が魅力的な歴史ある城下町・福山へ
華やかな頃の駅前を愛する店主の趣味が高じた一軒

福山

2018年11月19日

華やかな頃の駅前を愛する店主の趣味が高じた一軒
どこの地方都市もそうなりがちだが、福山も交通の要衝の割には、駅前は都市規模に比べそれほど繁華とは言えない。けれども、古くから備後都市圏の中心部であったこの街は、以前は1階部分が店舗ばかりで、駐車場を作るスペースもなかったほど、あらゆる店舗でごった返していたという。そして、近年また福山市も駅前を盛り上げようとさまざまな企画が立ち上げられ、たとえば休日には道路を閉鎖して道に椅子を置いて飲食できるストリートを作ったり、屋外で映画を上映したりといったユニークな取り組みが行われている。そんな駅前の一角に『駅前とおだいどこ』はある。

店主の松井秀寿さんは、地元のご出身。飲食業界とは無縁のしごとについていたが、もともと親戚が食堂を営み、自身もまた料理を趣味としていたということで、6年半前にこちらをオープンすることになった。今より賑やかだったころの駅前に対する思い入れから、「駅前」、そして「おだいどこ」を組み合わせたユニークな店名で開業するに至った。

カキのオイル漬けは500円。牡蠣は、乾煎りして火が通ったら、だしと醤油とみりんで作ったつけだれに1時間ほど漬けたのち取り出して、米油の入った保存便でオイル漬けにしたもの
カキのオイル漬けは500円。牡蠣は、乾煎りして火が通ったら、だしと醤油とみりんで作ったつけだれに1時間ほど漬けたのち取り出して、米油の入った保存便でオイル漬けにしたもの

駅前の便利な立地にあって、美味しい酒と酒飲みにはたまらないアテを提供してもらえるこちらのウリはなんといっても、福山ならではの鮮度の魚介と野菜、そしてマニアックな日本酒とシェリーの品揃えだろう。魚は地元を代表する目利きで知られる創業90年の名店『島田鮮魚店』から抜群の地魚が、野菜は世羅町の知る人ぞ知るこだわりの農家『吉宗農園』などから届く味の濃いものという素晴らしい素材が集まる。

店主のお気に入り、玉櫻を中心に燗酒をすすめる
店主のお気に入り、玉櫻を中心に燗酒をすすめる
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