松江大橋から西を向けば、宍道湖大橋があり、その奥に宍道湖が広がる。
夕陽が似合う景色に、宍道湖と日本海の幸が待つ『やまいち』さんへ大橋川沿いをぼちぼち歩いて行くことにする。
夕陽が似合う景色に、宍道湖と日本海の幸が待つ『やまいち』さんへ大橋川沿いをぼちぼち歩いて行くことにする。
昭和39(1964)年から続く『やまいち』は、郷土料理・季節料理をアテに呑める居酒屋であり食事処。松江大橋の東にある松江新大橋北詰にある。
今は亡き先代が、橋の対岸(南)にあった実家から勘当されて「敷居じゃなくて大橋をまたぐな、と言われたそうです」と二代目・山根克久さん。
大女将の二子(つぐこ)さんはおでんの面倒を見たり、大鉢の煮付けなどを盛りつけたりと素敵なコンビだ。
「湖」と「海」が両方堪能できる稀有な場所
日本海最大級の汽水湖である宍道湖は、松江の街とも密接な繋がりがある。
宍道湖の幸は食文化を造り「スモウアシコシ(相撲足腰)」を頭文字にした宍道湖七珍と呼ばれる食材を今に伝える。スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、シジミ、コイ、シラウオとあるが、フルメンバーが一時に揃うことはまずない。いずれにせよ、季節によって移り変わっていくのがまたいい。
5月中旬の取材であったが、まだ冬から春の食材が名残の頃。真夏にはそれらが姿を消し、海の幸が最盛期となる。シロイカ、サザエ、アワビ、ウニといった日本海の上物たちが待っている。 トビウオも食すことが多い日本海側であるが、7月には獲れなくなっていくという。この日はそのトビウオの子(卵巣)の煮付けがあった。粒が大きくプチプチとしながらもコクのある味わいに、まずやられました。
もう一つ小鉢でバイ貝を。貝も季節によって変わる。「お酒のアテにはニナ貝、ベベ貝も美味しいけど、今日はバイ貝がいいよ」と二代目。