特集 / 初夏の出雲路に、地元民が愛する味わいを求めて。
日本海に突き出た絶景の岬で果実のようなウニ丼を

出雲

2018年6月18日

日本海に突き出た絶景の岬で果実のようなウニ丼を
JR出雲市駅から出雲大社に寄る前に、日御碕(ひのみさき)を目指した。バスなら1時間(860円)、タクシーなら35分ぐらい(約6,000円)で着く。

「日本の自然百選」にも選ばれた出雲日御碕灯台からの絶景は、空と海と岬の奇岩絶壁が織りなす大パノラマが楽しめる。素戔嗚尊(すさのおのみこと)、天照大神が祀られた日御碕神社も近く、余裕を持って参拝したいところ。 美食前に、日御碕を散策して絶景を満喫しつつ腹を空かせるコースを提案しておこう。高さ43.65mと日本一の灯台は、この季節なら日本海の潮風が心地よい。

「世界の歴史的灯台百選」にも、国の登録有形文化財にも選ばれている。参観料200円
「世界の歴史的灯台百選」にも、国の登録有形文化財にも選ばれている。参観料200円

人を饒舌にさせてしまうウニの力

さてお目当ては、その日御碕神社の参道に建つ『花房商店』だ。「みやげ物食堂」といった風情だが、食い道楽たちが遠方からウニ丼目当てにこの店を目指す。 周辺のウニ漁師から直接仕入れるというオレンジ色のバフンウニは、澄み切った日本海の環境も手伝って、驚くほどクセがなく甘くフルーツのような風味が楽しめる。

写真を見ると、あの時の香りや甘さが蘇ってきた。
写真を見ると、あの時の香りや甘さが蘇ってきた。

ぷっくりとした身の一つひとつは決して大きくはないけれど、よほど上質の海藻を食べているのだと分かる。 自然が残された周辺の山が海を育て、ウニの身を肥えさせている。

自然相手の商売だから、荒天が続いたり産卵期に入ったりするとウニ丼も当然ない。ぜひ事前に電話で確認を!
自然相手の商売だから、荒天が続いたり産卵期に入ったりするとウニ丼も当然ない。ぜひ事前に電話で確認を!

そして現れたのが、丼いっぱいに盛られたウニ。 期待通りの鮮やかな色と見ただけで分かる鮮度の良さ。「ウニ板1枚とちょっと盛り込んでますから」とご主人の花房芳政さんが話してくれた。 ウニの下には岩海苔が敷き詰められていて、ワサビを散らしながら食べる。醤油はかけなくとも特製のタレがご飯に染み込ませてある。

ウニ丼2,160円(税込)。ムム、都会の鮨屋で食べるウニ板1枚の値段を思うと、もう一杯注文したくなる。人の手で飾られた「インスタ映え」の料理にはない、自然に映える力がある
ウニ丼2,160円(税込)。ムム、都会の鮨屋で食べるウニ板1枚の値段を思うと、もう一杯注文したくなる。人の手で飾られた「インスタ映え」の料理にはない、自然に映える力がある

ひとつまみのウニを何も付けずに食べると、確かに甘い。マンゴーなど南国の果実にも似た香りさえ立つ。体温で溶けるようにほどけて行く時間は恍惚としか言いようがない。 しかし、それをちびちび食べていてはいけない。ゴソッと口に頬張るようにして食べるのがまたうまい。磯の香りがほんのりと広がり、岩海苔の風味と共鳴するかのようだ。

出雲の神さまたちが「泣いてもいいんだよ」と耳元でささやいているような体験でありました。

添えられた味噌汁の中にも地元で採れたカジメ(搗布=九州北部などでよく食べられる海藻の一種)が入っていた。ここまで来ると九州も近いんだな。

このカジメ、とろとろネバネバの成分を纏っていて、この味噌汁がウニ丼の合間にいいアクセントとなる
このカジメ、とろとろネバネバの成分を纏っていて、この味噌汁がウニ丼の合間にいいアクセントとなる
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