フレンチの名店『プルミエ』は漁師町・下津井出身のオーナーシェフ・寺﨑仁人さんの店だ。地元から仕入れる魚介を中心に、秋冬は吉備中央町からのジビエがお薦め。さらにベーコンやスモークサーモンなど自家製のものを用意している。
新鮮な岡山県産のブランド豚「ピーチポーク」を仕入れ、ブーダン・ノワール・エン・テリーヌもお手製というから、魚よりもむしろワインに合う肉料理を目当てにする美食家たちも多い。今回はそちらをご紹介する。
岡山産とフランス産を使い分けて
寺﨑さんは仏・バイヨンヌの生ハムを1本買いして仕入れている。アラカルトではコチのブイヤベースや、岡山県産鹿のトゥルトなども人気だ。「地元の下津井からタコも仕入れています。意外に知られていない食材もあって、5月くらいならトラフグが美味しいんですよ」とも話してくれた。「ガラエビ」もビスクにして提供するなど、地域に根ざした食材を幅広く扱っている。
そんな話を聞いていると、どんどん「おいしい口」になっているのが自分でもよく分かる。ほどなく生ハムがテーブルへ。ほどよい塩味がきめ細かく柔らかい肉の風味を引き出しワイン大至急! の美味しさだ。
夜の遅がけはカウンターで一品とワインを楽しめる。当日はイベリコ豚のリエット、タスマニアサーモンを自家製でスモークするなど、5~6種類を日替わりで用意していた。「定番の料理もありますが、ちょっとした提案もしています」と供されたのがフォワグラの冷製。
自家製ブラックシュー生地の内側にリンゴのコンフィを塗り、フォワグラをサンド。ソースはバルサミコとアプリコットで、トマトやアボカドを添えてある。
これに「超甘口の白ワインと合わせても面白いんです」とシェフ。はい、のりましょう。
仔羊などはフランス産を、鴨肉などはハンガリー産を。その他の食材は、九州産の和牛以外にはほぼ岡山から鳥取あたりの中国地方のもので占められる。