特集 / 夏風に吹かれて旅するように。岡山・倉敷の名店5選
瀬戸内の幸を居酒屋以上・割烹未満の町家店で

岡山・倉敷

2018年5月21日

瀬戸内の幸を居酒屋以上・割烹未満の町家店で
蔵が建ち並んでいた地、倉敷はアイビースクエアや大原美術館など、美観地区を中心とした観光の街で、一気に旅モードに運んでくれる。そして有り難いことに、「美しい街並み」と「うまいもの」がしっかり両立している街でもある。
倉敷民藝館前から見た倉敷川東岸。江戸時代には蔵が並び、水路を中心に米が運ばれた
倉敷民藝館前から見た倉敷川東岸。江戸時代には蔵が並び、水路を中心に米が運ばれた
クラボウ発祥地、倉敷アイビースクエア。紡績でも栄えた街の歴史を学べる
クラボウ発祥地、倉敷アイビースクエア。紡績でも栄えた街の歴史を学べる

『鬼の厨(くりや) しんすけ』は、倉敷駅と美観地区の間のエリアで『割烹 山部』が営む町家の洒落た居酒屋だ。国指定の重要文化財「大橋家住宅」に隣接しているが、「指定時に、店舗が入っていた数軒分が文化財にならなかったんです。だから今、店ができている」と店主・山部晋資さんは言う。

重要文化財に指定される際、この並びに住居兼店舗があったため、大橋家敷地内でもこの一角は指定外で店舗営業ができたという
重要文化財に指定される際、この並びに住居兼店舗があったため、大橋家敷地内でもこの一角は指定外で店舗営業ができたという

山部さんは家業のスーパーマーケットを継ぐべく東京で修業。生鮮、肉、青果などの現場を体験したことで逆に、「大型スーパーの時代では、家業で対抗するには難しい。他に道を探さないと……」と食材の知識が活かせる料理の世界に入った。

いきなり、ワタリガニの強烈な洗礼

地元客から観光客までがリピーターとなっているこの店では、とにかく岡山の山海の幸を活かした「地のもの」にファンが吸い寄せられる。

まずお薦めしてもらったワタリガニ。当日はまだメスの内子がびっしりと入り、甲羅が盛り上がっているほど。こっくりとした味わいは、ズワイや毛ガニなどでは味わえないもの。 エサが豊富な瀬戸内の海を、後ろ脚のヒレを使って活発に移動しているため、その付け根の身が最も発達している。つまりはツメよりも甘みあり、味濃く、プリリとした肉質を感じる部位。これから夏場にかけてはオスの身がびっしりと詰まってくれるという。

人数に合わせて大きさを合わせてお薦めしてくれる。高級ではあるが、一度は大ぶりのものを食べておきたい名物の一品だ。

4~5人で味わいたいサイズの大きい方で約10,000円、小さい方で約4,000円。仕入れによって変動
4~5人で味わいたいサイズの大きい方で約10,000円、小さい方で約4,000円。仕入れによって変動
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