特集 / 浪速割烹で日本料理の味わい深さを知る
大阪割烹の真髄「食い味」を知る、法善寺横丁の名店

大阪

2018年12月6日

大阪割烹の真髄「食い味」を知る、法善寺横丁の名店
「京の持ち味、浪速の食い味」という言葉がある。京都が食材の味を引き立てる淡味とするなら、大阪は食材の持ち味を生かした淡味の中にも、昆布や他の食材を用いることで、まったりとした深味を持たせた味わいに仕上げることを意味する。京都に都が移った後、比較して呼ばれ出したという。そんな「浪速の食い味」を心ゆくまで堪能できる大阪を代表する割烹がある。打ち水も清々しい、法善寺横丁に店を構える『浪速割烹 㐂川』である。
「鯛なら、身は造りに、かぶとは柚子とあら炊きに、骨はだしに、ウロコは唐揚げになど、素材は大事に使い尽くします」と上野さん。2、3階に個室はあるが、おすすめは上野さんの仕事が冴えるカウンター席
「鯛なら、身は造りに、かぶとは柚子とあら炊きに、骨はだしに、ウロコは唐揚げになど、素材は大事に使い尽くします」と上野さん。2、3階に個室はあるが、おすすめは上野さんの仕事が冴えるカウンター席

初代・上野修三さんが1965年に創業。「浪速割烹」の看板を掲げ、 “始末の精神”を心意気に、洋風の素材や技を巧みに取り入れ、なにわの伝統野菜の発掘などにも取り組んできた。二代目・上野修さんは、「食材ひとつを始めから終わりまで大切に使い尽くし、“始末”すること。それが大阪割烹の真髄です」と話す。また、「かつてミナミの旦那衆は健啖家が多く、彼らを唸らせる料理をと心がけていました。スズキの造りにと捌いていても、『頭は焼いてくれ』などお客様から言われたりして。そんな“掛け合い”から料理が生まれていきましたね」とも。食べ手の味覚に合わせて素材を調味していくのも「食い味」ならではの柔軟さだ。

煮物椀。蓮根まんじゅう新挽揚げ 百合根のすり流し。中に大ぶりの栗が入った蓮根まんじゅうは餅米粉をまぶして揚げた。基本のだしは真昆布を煮出したしっかりとうま味のある味わい。昼の5,500円のコースから
煮物椀。蓮根まんじゅう新挽揚げ 百合根のすり流し。中に大ぶりの栗が入った蓮根まんじゅうは餅米粉をまぶして揚げた。基本のだしは真昆布を煮出したしっかりとうま味のある味わい。昼の5,500円のコースから

上野修さんは、小学校の作文に「将来は料理人になる」と書いていたという。中学生では「嫌やな」と思う時期も正直あったが、「父の背中を見ていたので、他には見つけられなかった」と料理の道へ。19歳で入店するが、より見聞を深めるために志摩観光ホテルのフレンチ『ラ・メール』に就職。フランス料理界の寵児と言われる高橋忠之総料理長のもとで5年修業を重ねた。その後、二代目として1994年に『㐂川』を継ぐことに。「だしは基本ですが何でも鰹と昆布のだしでというわけではなく、父から受け継いだ守るべきものは守りつつ、フレンチのエスプリをお借りして」と、創意溢れる独自の料理を編み出している。

焼物。ぐじと海老のはさみ焼き 天王寺蕪 緑鮮やかな、葉蕪のドレッシング。夜の22,000円のコースから
焼物。ぐじと海老のはさみ焼き 天王寺蕪 緑鮮やかな、葉蕪のドレッシング。夜の22,000円のコースから
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