特集 / 初秋の播州路でならではの味覚を味わう小旅行へ
日本料理一筋40年以上の日本調理師会師範の腕を楽しむ「酒宴」

兵庫

2018年9月17日

日本料理一筋40年以上の日本調理師会師範の腕を楽しむ「酒宴」
姫路一の歓楽街、魚町・塩町の入口にある雑居ビルの1階。そこに、オレンジ色の暖簾と杉玉が目印の、小体な日本料理店がある。小上がりもあるが、カウンターメインで、昼は女性が喜ぶ御前、夜はおまかせの会席料理と地酒が楽しめる。店は店主と女将さんのふたりで切り盛りしている。

ご主人は小野正勝さん。スキンヘッドで一見強面の職人気質だが、話せば気さくで優しさが伝わってくる。灘のけんか祭りで有名な姫路市白浜町の出身。子どもの頃からの料理好きが高じて、料理人を志した。明石温泉にある料亭旅館『人丸花壇』など兵庫県内の日本料理店数軒で経験を積み、西明石ホテルキャッスルプラザ『赤石』では料理長も務めた人物だ。日本調理師会師範の肩書を持つ58歳で、日本料理一筋に40年以上、邁進してきた。

夜にはジャズが流れる店内。「本当はディスコがいいけど」と小野さん。カウンターの他、小上がりもある。
夜にはジャズが流れる店内。「本当はディスコがいいけど」と小野さん。カウンターの他、小上がりもある。

独立は10年前のこと。お客様の料理の進み具合を見ながら調理できるカウンターで、長年培ってきた技を活かせる会席料理を供す店を、と考えた。店名の『よし乃』は、奈良の吉野出身で鮮魚店を営んでいた祖母のヨシノさんが由来。「おばあちゃんはみんなに好かれていたので、そんな店になればよいと思って。かしこまった店にはしたくありませんでした」と小野さん。さらには、日本酒好きなので、「酒宴」と前書きを加えた。

昼の御前のかご盛り。地元ではシズと呼ばれるウオゼの焼き物、近江こんにゃく、鯛の南蛮漬け、ふくさ焼き、高野の揚げ煮など盛りだくさん。
昼の御前のかご盛り。地元ではシズと呼ばれるウオゼの焼き物、近江こんにゃく、鯛の南蛮漬け、ふくさ焼き、高野の揚げ煮など盛りだくさん。

小野さんは一日も欠かさず、朝には姫路市中央卸売市場で仕入れを行う。鮮度の良い近郊のものを中心に選び、店には8時前に入って仕込みを開始。その後閉店まで一人で素材に向き合い続ける。この日の取材中も大きな木杓子で胡麻豆腐を練る手を留めることなく、「特別なことはしていませんが、ただ手は抜けませんよ」と語っていた。夜のおまかせは6品構成。例えば、造り盛りなら、骨切りしたハモの繊細なおいしさはもちろんのこと、特筆すべきはタコ。地のタコをやわらかい独自の食感にするため、低温で丁寧に火入れ。生と茹でとの間に持ってくなど、熟練の技が冴える。

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