特集 / 食材の輝く富山、その最前線の味。
富山の日本料理界のホープが地元食材を昇華させる

富山

2018年8月20日

富山の日本料理界のホープが地元食材を昇華させる
お隣の石川・金沢に比べるとおとなしい印象が否めない富山。しかしながら、海の幸はもちろん、山の幸、里の恵みが豊かな土地。そんな地元をこよなく愛し、地元食材を駆使した料理で注目を集めているのが『ふじ居』店主・藤井寛徳さんだ。42歳と日本料理の世界ではまだまだ若手であるが、奇をてらわず、和の伝統を守る料理が訪れる人を魅了する。
富山市の中心を流れる神通川。その上流で獲れる天然の鮎は炭火で頭はカリッと、身はふっくらと焼き上げられる。
富山市の中心を流れる神通川。その上流で獲れる天然の鮎は炭火で頭はカリッと、身はふっくらと焼き上げられる。

「新しいことにも挑戦するけど、伝統を受け継ぐ最後の人間になりたいと思っています」。藤井寛徳さんは、そんな言葉を口にした。
近年、日本料理の世界も調理法や提供の仕方などが大きく変貌しているが、藤井さんはあえて、昔からの伝統が伝統たる意味を考えて料理に挑む。
例えば、全国一の昆布消費量を誇る富山の人々に親しまれている昆布巻きなら、作った当日に提供するのではなく、1日寝かせることに意味があるという。即席で仕上げて、姿かたちの面では遜色なく作れたとしても、寝かしたからこそ得られるうまみには敵わない。手間がかかるという理由だけでやらないなんていうのは理由にならないという藤井さん。先達が試行錯誤してたどり着いた味とそのための手間を簡単には排除しない。伝統を受け継ぐことの意味を常に考えている料理人なのである。

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